介護タクシー事業開始までの流れ
いわゆる介護タクシー事業は、「一般乗用旅客自動車運送事業」に該当します。(道路運送法(以下「法」とする。)第3条1号ハ)
したがって、介護タクシー事業を「経営しようとする者は、国土交通大臣の許可」が必要となってきます。(法第4条1項)
許可を取得するまで、許可を取得してから営業開始するまでのおおまかな流れは以下のようになります。
@申請の準備
A管轄の運輸支局で許可申請
B法令試験
C許可(申請から許可まで2カ月半以上)
D開業の準備
E営業開始
F運輸開始届の提出
介護タクシー事業の許可を取得するための要件
介護タクシー事業の許可を取得するためには、
法6条「許可基準」に適合していることが必要となります。
審査基準に適合するための要件をおおまかに分類すると、以下のようになります。
(1)使用権限、保有台数などの車両関係
(2)前面道路、位置、設備などの営業所・休憩仮眠施設・車庫関係
(3)資格、雇用形態などの人員関係
(4)自己資金など資金計画関係
(5)保険加入などの損害賠償関係
(1)車両関係について
@申請書が使用権限を有する車両であること(※車検証の使用者欄に法人で申請する場合は申請者である法人名義であること。)
A1営業所に1両以上の事業用自動車を配置するものであること(※5台以上になると、運行管理者の資格を有する人が必要となります。)
B車両の形状
イ. ヘルパー等(※1)の資格がある場合
⇒一般のセダン型で福祉設備(※2)がなくても構いません。
※1 以下のいずれかの資格
・社団法人全国乗用自動車連合会等が実施するケア輸送サービス従業員研修を修了していること
・介護福祉士の資格を有していること
・訪問介護員の資格を有していること
・居宅介護従業者の資格を有していること
※2 車いす、ストレッチャーのためのリフト、スロープ、回転シート、リストアップ等の乗降を容易にするための装備
ロ.ヘルパー等の資格がない場合
⇒スロープ等の福祉設備が必要
(2)営業所・休憩仮眠施設・車庫関係
@営業所
イ.営業区域内(原則県単位となる)にあること。
ロ.申請者が土地、建物について3年以上の使用権限を有するものであること。
ハ.関係法令(建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等)に抵触しないものであること。
二.運行管理及び利用者への営業上の対応を行うことのできる事務所があること。
A休憩仮眠施設
イ. 原則として営業所又は自動車車庫に併設されているものであること。
ただし、併設できない場合は、営業所及び自動車車庫のいずれからも直線で2qの範囲内にあること。
ロ.他の用途に使用される部分と明確に区画され、かつ事業計画に照らし運転者が常時使用することができるものであること。
ハ.申請者が土地、建物について3年以上の使用権限を有するものであること。
二.関係法令(建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等)に抵触しないものであること。
B自動車車庫
イ.原則として営業所又は自動車車庫に併設されているものであること。
ただし、併設できない場合は、営業所及び自動車車庫のいずれからも直線で2qの範囲内にあること。
ロ.車両と自動車車庫の境界及び車両相互間の間隔が50cm以上確保され、かつ、営業所に配置する事業用自動車の全てを収容できるものであること。
ハ.申請者が土地、建物について3年以上の使用権限を有するものであること。
二.関係法令(建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等)に抵触しないものであること。
ホ.他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。
ヘ.事業用自動車の点検、整備等ができる十分な広さと、清掃が可能な水道設備があること。
ト.事業用自動車の出入りに支障がないこと。(市町村道路管理課が発行する道路幅員証明書を添付する。国道の場合は必要ない)
なお、前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権限を有する者の承認があり、かつ当該私道に接続する公道が出入りに支障がな いこと(上記の道路幅員証明書の添付を要する)
(3)人員関係
@運転者は、以下の運輸規則第36条第1項各号に該当する者でないこと。
・日々雇い入れられる者
・2月以内の期間を定めて使用される者
・試用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く)
・14日未満の期間ごとに賃金の支払いを受ける者
A運行管理者
車両が4台までは、運行管理者の資格は不要である。
ただし、5台以上の自動車を使用する場合は、運行管理者の資格を保有する者の選任が必要となる。
B整備管理者
車両が4台までは、整理管理者の資格は不要である。
5台以上の場合は常勤有資格の整備管理者が必要となる。
(4)資金関係
所要資金の見積もりが適切であり、かつ資金計画が合理的かつ確実なものであること。
なお、所要資金とは以下の@〜Fの合計額とされる。
@車両費 取得価格又はリースの場合は1年分の賃借料等
A土地費 取得価格又は1年分の賃借料等
B建物費 取得価格又は1年分の賃借料等
C機械器具及び什器備品 取得価格
D運転資金 人件費、燃料油脂費、修繕費等の2ヵ月分
E保険料等 保険料及び租税公課(1年分)
Fその他 創業費など開業に要する費用(全額)
所要資金の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が申請日以降常時確保されていること。
・任意保険の加入保険金額が対人(1名につき)8000万円以上、対物200万円以上の任意保険又は共済に計画車両の全てが加入する計画があること